遺言作成
自分はどのような種類の遺言を作るとよいのだろうか
将来に備えて、お世話になった人や身近な人のために遺言を作ろうと考える人はとても多いです。そんな中、いざ遺言を作ろうとすると「自分はどのような種類の遺言を作るとよいのだろうか」という悩みを抱える人が多くいます。このページではそのような迷いや悩みを解決するため、遺言の種類について詳しく解説します。
遺言の種類は大きく2つ
遺言の種類は大きく2つあります。1つ目が、自筆証書遺言。2つ目が公正証書遺言です。では、どちらの種類で作るのがよいのか、それは皆さんの状況や希望によって変わってきます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、それを知っていただいた上でご自身にあった種類を選択してください。
自筆証書遺言はどのような人が作るとよいか?自筆証書遺言のメリット・デメリット
自筆証書遺言は、手書きで作成する遺言です。
先に答えをお伝えすると、自筆証書遺言で作るべき人は「病気などで余命が迫っており、今すぐ遺言を作りたい人」や「お金をかけずに遺言を作りたい人」です。
自筆証書遺言のメリットは何と言っても素早く簡単に、費用をかけず作成できることです。以下に載せる形式さえ押さえていれば、ノートの中や裏紙に書かれたものでも自筆証書遺言として認められます。
- 財産目録を除いた全文を手書きすること(パソコン等で作るのはNGです)
- 日付が正確に書かれていること(「令和〇年〇月吉日」という表現などはNGです)
- 氏名がフルネームで書かれていること
- 印鑑が押されていること(認印でも大丈夫です)
このように自筆証書遺言は今すぐにでも書け、費用をかけずに作ることができます。しかし、手軽に作れる一方で2つのデメリットがあります。
1つ目が、遺言を使う前に、裁判所で「検認」と呼ばれる手続きが必要なことです。検認をして裁判所から発行される証明書がないと自筆証書遺言は使うことができません。また、検認では先ほどの形式を満たしているかチェックをします。
2つ目が、検認で証明書を発行してもらっても、お手続きで使えるかはまた別の話ということです。例えば、財産として不動産を書きたい場合、皆さんがよく使う「住所」で書いても”形式上は”問題ありません。よって証明書を発行してもらえます。しかし住所で書いた場合、必ず手続きで使えるとは言い切れません。遺言の表現によっては検認とは別の手続きを求められたり、思い通りに名義を変更できなかったりすることもあります。
公正証書遺言はどのような人が作るとよいか?公正証書遺言のメリット・デメリット
公正証書遺言は、証人2名の立会いのもと公証人と呼ばれる法律家に作ってもらう遺言のことです。お近くの公証役場に連絡をすることで作ることができます。
事前に時間と費用をかけて作る公正証書遺言は、「残されたご家族がお手続きの時に困らないように準備をしたい人」「既婚・未婚を問わず、子供がいない人」が選ぶとよいでしょう。
そんな公正証書遺言のメリットは2つあります。
1つ目が、検認が不要ということです。公正証書遺言は作る前に公証人のチェックが入るため、検認が不要です。つまり証明書を発行する必要がなく、公正証書遺言だけでお手続きをすることができます。また公証人がチェックしているので、お手続きでは使えないといったリスクも極力抑えることができます。
2つ目が、お手続きで必要な戸籍を大幅に省略できることです。通常、相続のお手続きでは相続人を確定させるため、戸籍が大量に必要になります。特にお子様がいない人が亡くなった場合、戸籍の量は何倍にも増えます。しかし公正証書遺言を作成していた場合にはこれらの戸籍を省略することができます。
一方で公正証書遺言にもデメリットがあります。それは、作るために時間と費用がかかることです。公証人と事前にやり取りをするため、作成までに3か月ほど時間がかかります。また、公証人に払う費用は平均して5万円~十数万円になることが多く、自筆証書遺言遺言のように気軽には作ることはできません。